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宅急便の運賃改定、クロネコDM便も値上げ?

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個人利用の宅急便が約10%の値上げ

2023年2月6日、ヤマト運輸株式会社は2023年4月3日(月)から、宅急便などの届出運賃等を平均約10%引き上げると発表しました。宅急便など届出運賃等の改定について -ヤマト運輸-

改定内容
(1)対象:宅急便、宅急便コンパクト、EAZY、国際宅急便

(2)運賃改定率:約10% ※サイズ、お届け先などにより改定率は異なります。

(3)改定日:2023年4月3日(月)

宅急便の値上げはおよそ5年半ぶりですが、すでに先行して佐川急便も4月から約8%の値上げを発表しています。ヤマト運輸は値上げの理由について、「国際情勢の不安定化による資源・エネルギー価格や原材料価格の上昇に伴うインフレ傾向にくわえ、労働力減少による賃金や時給単価の上昇など」を挙げており、たしかに2024年問題(法改正による自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限設定)を控えた物流事業者を取り巻く外部環境はかなり厳しさが増しています。

法人利用や大口顧客とは個別交渉

さて、ヤマト運輸の今回の発表で値上げ対象とされているのは、「宅急便」「宅急便コンパクト」「EAZY」「国際宅急便」ですが、日本経済新聞の記事によれば、「値上げの対象となる基本運賃が適用されるのは主に個人利用で、ヤマトが扱う宅配便荷物全体の1割程度。残り9割を占める電子商取引(EC)大手などの大口顧客に対しては個別に値上げ交渉を進める。」とあります。
ヤマト運輸4月に宅配便10%値上げ -日本経済新聞-

つまり、個人利用の宅急便料金については届出運賃を改定しさえすれば一律に値上げすることもできますが、問題は全体の9割を占める法人や大口顧客の利用分をどうするかという点で、これついては今後クライアントと個別に値上げ交渉を行うということです。

値上げ個別交渉の現状

DM発送代行業を営む弊社においても年間にかなりの数の宅急便を使用しておりますので、当然個別交渉の対象となるはずですが、本日(2/13)現在ヤマト運輸から値上げについての打診や交渉の依頼もありません。そこで、今回発表された値上げの件についてこちらからヤマト運輸の担当者に問い合わせたところ、「(法人利用や大口顧客に対する)具体的な値上げ幅や値上げ時期について上からの指示は今のところ何もない。」とのことでした。また、個人の利用分は2023年4月からの値上げが決まっているものの、個別に交渉せざるを得ない法人利用分の値上げ時期については、交渉期間の関係で多少ずれ込むようです。

クロネコDM便も値上げ?

また、今回一切触れられていないクロネコDM便についてですが、まずは宅急便の法人利用や大口顧客との個別交渉が優先らしく、「宅急便の値上げ交渉が落ち着いた段階でクロネコDM便についても何らかのお願いをすることになるかも知れない。」との回答でした。つまり、今の段階でクロネコDM便の値上げについては何も決まっていないということです。(とはいえ、近い将来クロネコDM便も値上げに踏み切る可能性は捨て切れません。)

おそらく、ヤマト運輸は、法人や大口顧客との個別交渉についてかなり慎重になっているのではないでしょうか。というのも、5年半前の値上げ時にかなり強固な値上げ交渉を行ったことが原因でヤマト運輸は顧客離れを招き、宅急便の取扱個数を大きく減らす結果を招いているからです。個人利用分については届出運賃を改定しさえすれば一律に値上げできるものの、法人利用や特に大口顧客の分についてはそうもいかず、また値上げ交渉の仕方を誤ると顧客離れや売上の減少に繋がる恐れもあってヤマト運輸も頭を悩ませているのではないでしょうか。

まとめ

宅配便のサービスが誕生してからすでに40年が経過しており、国土交通省の資料によれば令和3年度の宅配便取扱個数は、49 億5,323万個(対前年度比2.4%の増加)にも上るそうです。令和3年度の宅配便取扱実績について -国土交通省-
宅配便サービスは、EC市場の急成長によって今後さらに取扱個数の伸びが予想されているものの、その反面、昨今の若手不足と高齢化による労働力不足の中、ドライバーの長時間労働が問題化し、物流業界では2024年問題もあって「宅配危機」「物流危機」という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。
その様な状況下での今回の宅急便の値上げですが、クロネコDM便も含め、今では生活に欠かすことのできない宅配便サービスの品質を今後も維持するためにはある意味致し方のないことなのかも知れません。むしろ料金の面ばかりではなく、荷物を受け取る消費者側もできるだけ不在配達を無くし、ドライバーの負担を軽減するなどの配慮も必要ではないでしょうか。